冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「いいから。……今日、誕生日だったんだな」

 成明さんの指摘に、途端に気まずさを感じる。

「あ、そうなんです。実は……」

 どこで知ったの? 婚姻届に生年月日を記入していたのを思い出して? でも成明さんに先に書いてもらって、その後に私が……。

 今はそこを気にしている場合ではない。私は明るく答える。

「誕生日とはいっても、特別なにか祝ってもらう年でもないですから」

 フォローしたものの、あからさまにため息をつかれた。

「気にもせず、気が回らなかった俺が言うセリフではないが……話してくれてもよかったんじゃないか?」

 怒るというより、少しだけ悲しそうな口調に戸惑いが隠せない。

「でも……」

 わざわざ誕生日だと言う気にはなれなかった。言ってどうするの? プレゼントをねだるみたいじゃない。子どもでもあるまいし。

「逆の立場だったら、小夜は絶対に俺に文句を言っていたと思うが」

 成明さんの指摘に、わが身に置き換えてみる。

 たしかに『どうして言ってくれなかったんですか!』と彼を責めそうだ。誕生日ならお祝いしたかったと、きっと悲しくなる。

 とはいえ私と彼とでは立場が違う。愛し合って結婚したわけじゃない。なにより――。

「面倒くさいと思われたくなくて……成明さんに、迷惑をかけたくなかったんです」

『迷惑をかけるだけなのが目に見えて――』

 口にした途端、石坂さんの言葉が頭を過ぎる。会社でも散々言われてきた。だから私は……。
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