冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
第五章 甘く苦しいアリスミア続きの新婚生活
 翌朝、成明さんと出かけることになったが、どうも落ち着かない。

「成明さん。本当にいいんですか?」

「さっきから、そればかりだな」

 運転席に座る彼に声をかけると、あきれた声が返ってくる。けれど私にも言い分がある。

「貴重なお休みの日に、わざわざ出かけなくても……」

 彼のハードスケジュールは一緒に暮らしはじめて、実感している。夜勤や当直に加え、オンコールと病院からの呼び出し、空いている時間は基本的に勉強して、術式の練習や実験など、研鑽の毎日だ。

 優秀なのはもちろん、医師の仕事は体力も人一倍必要らしい。

 予定がないのなら家でゆっくりした方がいいんじゃないかな?

 出かけようと言ってくれたのは成明さんだった。しかも私が行きたい場所を聞いてくるので、先ほどの言い分を伝えたものの半ば強引に連れ出されて今に至る。

 昨日、誕生日だったから気にしているのかな?

 その考えに至り、昨晩のことを思い出して頬が熱くなった。

 結局、どうして彼が私にキスをしたのかは、わからないままだ。おそらく深い意味はない。どんな事情であれ結婚しているのだから、いちいち理由を求める方が間違っているのかも。

「夫婦なのに、そういう時間がまったく取れなかったからな」

 私の考えを肯定するように成明さんから返事がある。そっか。やっぱり結婚したから、なんだ。

『これくらいの接触で緊張されていたら困るんだが?』

 もしかして夫婦の距離感としては、私だと他人行儀すぎて周りに不信感を与えてしまっているのかな? 成明さんはあまり自分のことを話さない人だけれど、結婚を公にしたらどうしたって妻として私の話題を振られる機会は多いだろうし。
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