冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 お母さん、お父さん。私、結婚したよ。結婚の成り行きを聞いたら、お父さんとお母さんは反対したかな。少なくともびっくりするよね。

 でもね、私は今、成明さんに恋をしてて彼と夫婦でいられるように頑張りたいと思っているの。……だから、見守っていてね。

 心の中で呼び掛け、ゆっくりと目を開ける。なにげなく隣を見たら、成明さんと目が合う。どうやら待たせてしまっていたらしい。

「ご両親に報告できたか?」

 謝罪する前に彼から問いかけられ、慌てて頷く。

「はい。一緒に来てくださってありがとうございます」

 お礼を言うと、成明さんは、かすかに口角を上げ優しい表情になった。この顔をできればずっと見ていたい。でも――。

「帰りましょうか」

 さりげなく促す。成明さんには十分に付き合ってもらった。けれど彼は忙しく、他にやらなくてはならないことがたくさんあるはずだ。

「デートはこれからじゃないのか?」

 ところが成明さんから予想外の言葉が返ってくる。成明さんはスマホを取り出し、画面を見た後、こちらに視線を寄越した。

「植物園の温室でオージープランツが見頃を迎えているらしいな」

 最近、口にした覚えのある内容に目をぱちくりとさせる。

「行きたかったんだろ」

 余裕たっぷりに微笑まれ、最初からそのつもりだったのかと驚く。だったら提案してくれたらよかったのに、と思ったがすぐに考えを変えた。きっと成明さんは私自身が行きたいと言うのを待っていたのかもしれない。

 彼には敵わない。苦笑しながら成明さんに微笑む。

「はい」

 私が植物園に行きたがっていると成明さんに話してくれたさやかちゃんのためにも。

「花の写真をいっぱい撮りたいんです。一緒に行ってもらえますか?」

 答えはわかっているけれど、自分の願いだと伝わるように私はあえて成明さんに尋ねた。
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