冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「私は浩明さんに雇われてここにいるんです。説得するなら私ではなく、先にお兄さんをどうぞ。なんなら言葉通り、三神さんが食べて寝るまでそばにいましょうか?」

 強気の笑顔で告げる。三神さんは、一瞬虚を突かれた顔になったが、これ見よがしにため息をついた。

「お節介は、ただの迷惑でしかないな」

「心配してくれる身内がいるのは幸せなことですよ」

 そう答えたら、妙な沈黙が包む。

「今日は帰ります。……あの、ちゃんと眠ってくださいね」

「君には関係ない」

 これは睡眠時間を削って、好きなだけ本を読むパターンだろうと予想する。本当に彼が食べて眠るまで見届けるべきなのではと考えが過ぎったが、三神さんの態度を見ていると、私がこれ以上ここにいても事態は好転しそうにないと判断した。

 突然現れたほぼ見知らぬ女が家にいるのは不快でしかないのも理解できる。

「では、失礼します。明日も同じ時間に来ますね」

「来なくていい。明日は仕事で家にいない」

 ここまではっきりした態度をとられると、逆に清々しく感じてくる。

「浩明さんから聞いています。なので預かっているカードキーを使って中に入らせてもらいますね」

 さっきから三神さんは厳しい顔ばかりしている。整った顔立ちなのにもったいないと思いつつ、綺麗な人はどんな表情も様になるから羨ましい。

「明日も来ますから。してほしい家事があればメモを残すか浩明さんに伝えておいてください」

 そう言って私は部屋を後にする。見送りも労いの言葉も当然ない。

 浩明さんの依頼で来ただけで、三神さん自身には一切必要とされていないのだから彼の言動は致し方ないのかもしれないけれど……。

 ここはもう、お金のためと思って割り切ろう!

 自身を納得させ、結菜と浩明さんに今日のことを報告しなくてはとスマホを取り出した。
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