冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「ばいばーい」

 翔太くんの元気な声で我に返り、大きく手を振る彼に私も手を振り返した。

 一時期、命の危機にあったなど信じられないほど、元気そうな姿に、改めて成明さんに尊敬の念を抱く。成明さんに声をかけようとしたら、彼は複雑そうな表情を浮かべていた。

 心配になったものの、成明さんは歩を進め出したのでおとなしく続く。

 その後に温室の中を一通り周り、外に出る。予想していたものの寒さが一気に身に染みた。

「どの花も綺麗でしたね。多肉植物が可愛くてちょっと欲しくなりました」

「買うか?」

 なにげなく呟いたが、本気にした成明さんに提案される。たしかに園内のショップで買えると説明文に書いてあった。

「うーん。でも枯らしてしまいそうなので、あきらめます。植物も生き物ですから」

 苦笑しつつ答える。一方で、もしも買ったら、部屋に置いて世話をすることになるけれど、成明さんはそれを許してくれるんだと思うと嬉しくなった。

 一緒に住み始めたものの元々の関係もあり、私は気持ち的にも居候のような立場でいた。けれど成明さんはこうして私を対等に扱って、意思を汲んでくれるようになった。

 やっぱり、結婚したのが大きいのかな?

「成明さん、今日はありがとうございました。翔太くん、よかったですね。改めて、お医者さんってやっぱりすごいなって……成明さんのことを尊敬します」

 素直な気持ちを伝える。けれど成明さんは、やはりどこか浮かない顔をしていた。
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