冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 さやかちゃんの病室を後にし、受付ロビーまでやってきた。ちょうど昼休みになったからか待っている患者さんの数は減り、医療関係者らしき人がちらほら行き交っている。院内のコンビニや食堂に向かっている人もいて、このまま帰るかどうか少しだけ悩む。

 成明さん、今も患者さんのために尽力しているのかな。お弁当、食べる余裕があるといいんだけれど。

 そんなことを考えていると、総合受付から各診療科に続く通路を遠くから歩いてくる人物が目に入る。

 成明さんだと気付いて嬉しさに顔を綻ばせそうになった瞬間、彼の隣に女性がいるのに気づいた。

 石坂さん……?

 反射的に身を隠す。ふたりから十分に距離はあるのに、見つかってはいけない気がした。

 どうして石坂さんと成明さんが?

 見間違いを疑ったが、再び視線を送る勇気もない。

「ねぇ。あの三神先生の隣にいる女性、前も三神先生に会いにきてなかった? 仕事関係者?」

 混乱していると、すぐ近くで同じように成明さんに気づいた病院スタッフが会話しているのに気づいた。

「結婚されたって聞いたけれど……もしかしてあの人が奥さんかしら?」

「でも病院の関係者じゃないって話だったわよ。まあ、なにかしら三神先生にとって美味しい相手だったのかもね」

「恋愛結婚って感じでもなさそうだし。ただ、奥さんかどうかは置いといて、ぱっと見てお似合いな感じはするかも」

 憶測と噂話で盛り上がりながら、彼女たちは去っていく。
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