冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「私……この関係がずっと続くとは思っていません。だから、もしも他に結婚したい相手が現れたら……」

 私から言ったほうがいいのかな? 成明さんが石坂さんとのことを切り出すタイミングを探しているのだとしたら。

「現れたら?」

 迷っていると急に肩を掴まれ、成明さんが低い声で尋ねてきた。息遣いがわかるほどの距離で、彼の目には怒りが滲んでいる。

『とにかく、さっさと終わらせたいんだ。こんな猿芝居』

 この結婚をどう思っていたとしても、誠意を尽くすと約束したのを成明さんは守ってくれている。そんな彼が次はお父さんのために結婚しようとしているなら、私が願うことは。

「……次は、ちゃんと愛し合える夫婦に――」

 突然、強引に唇を重ねられ声にならない。顔を背けようにも成明さんの大きな手が頬に添えられ動かせず、そのうえ肩に乗せられていた手は腰に回されている。逃げられない。

 この前のキスとは違って唇を食まれては時折吸われ、奪われるような口づけに翻弄されていく。

「んっ……」

 無理やりと呼ぶほど一方的ではなく、こちらを気遣う余裕さえ見えて混乱する。熱くて、苦しくて、でもけっして嫌ではない。

 ふと唇の間に舌を添わされ、驚きで体が跳ねる。反射的にぎゅっと唇を引き結ぶと、成明さんは静かに離れた。

 心臓が破裂しそうに痛くて、状況に頭がついていけない。
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