冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「平気だ」

「ですが、食事もきちんと召し上がっていないようですし、睡眠だって――」

「大きなお世話だ」

 低く冷たい声でぴしゃりと拒まれる。三神さんは冷たい目で私を見てきた。

「君になんの関係がある? ああ、浩明から言われているからか。真面目に仕事をこなそうとしているんだろうが、俺のことは気にしなくていい。正直あれこれ口出されるのは鬱陶しいし迷惑だ」

 苛立ち気味に一気に捲し立てられる。彼の正直な気持ちなのかもしれない。けれど………。

「ひねくれ者!」

 あれこれ考える間もなく、私は叫んでいた。

「仕事とか関係ありません。食事も睡眠もろくにとっていなくて、体調が悪そうな人がいたら心配しないわけがないでしょ!」

 感情が昂ぶって目の奥が熱くなる。心臓が強く打ちつけ声が震えるが、勢いは止められない。

「平気な保証なんてどこにもないのに。ある日、突然倒れることだって……」

 そこで言葉に詰まる。頬に熱いものが伝って、手の甲で乱暴に拭った。

「め、迷惑だと思うなら、関係のない私に口出しされないような生活してください!」

 言い捨て、三神さんを見ないまま「失礼します」と頭を下げて背を向ける。荷物を持ち、代わりに浩明さん経由で借りていたカードキーを置いてそのままマンションを後にした。
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