冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 ちらりと窺うと、女性はにこりと微笑んだ。

「直接会うのは初めてよね。三神千八子(ちやこ)です。成明がいつもお世話になっています」

 その発言でさっと血の気が引く。どうやらこちらのご夫婦は成明さんのご両親らしい。電話でしか話したことがなかったので、顔がわからなかった。

「ご挨拶が遅くなってしまって申し訳ありません」

 頭を深々と下げると、成明さんのお母さん――千八子さんが笑った。

「謝るのは私たちの方よ。なかなか帰国のタイミングが合わなくてごめんなさいね。結菜さんの従妹だと聞いているわ」

「はい」

 頷くと、ひとまず座るように促され、テーブルを挟んでご両親の正面に腰を下ろした。千八子さんは慈しむような眼差しで私を見てくる。

「成明から聞いていて、浩明からもらったお写真でお顔はわかっていたんですけど実物はもっと可愛らしいわね。浩明はともかく、成明が自分から結婚するなんて言うものだから、私たち驚いちゃって。ねぇ、あなた」

「ああ」

 軽く同意をしたのは成明さんのお父さんだ。眼鏡をかけ、どこか厳しい表情をしている。

『三神さんのお父さまと懇意にしている人と伯父につながりができてね。その人伝いに、三神さんのお父さまに、あなたがどんな人物か話しておいたの』

『三神さん自身の意思はあまり関係ないの。彼はお父さまが結婚を命じたら素直に応じる人よ』

 石坂さんの言葉を思い出し、私はとっさにうつむいた。
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