冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 成明さんのお父さまは私にいい感情を持ってなどいない。それどころか私とは別れて、成明さんには別の女性と結婚してほしいと思っているんだ。

 唇を噛みしめ、ぎゅっと握りこぶしを作っていると、部屋にノック音が響いた。そして現れた人物に目を見張る。

「石、坂……さん」

 石坂さんに続いて、部屋の中に入ってきたのは、彼女の伯父である山本先生と、もうひとり白衣を着た男性。誰なんだろう、この人も同じ病院の医師なんだろうか?

 石坂さんは私を見て驚いた顔になったもののすぐに口の端をにやりと上げた。

「成明さんに呼び出されたから来てみたら……なるほど、そういうこと」

『しょうがない。父さんにも言われている』

 浩明さんへの電話で、成明さんが面倒くさそうに告げていたのを思い出す。

 胸がズキズキと痛みだし、息ができない。

 成明さんが石坂さんを呼んだのは、私にこの部屋に来るよう指示したのは……私との結婚を終わらせるため?

 石坂さんはご両親に微笑みかけた。

「お初にお目にかかります。私、石坂真子と申します。父がダミアノ製薬会社の役員をしていて、伯父は七幸(しちこう)大学附属病院で医師をしています。息子さんには大変お世話になっていまして……」

「三神先生、お会いできて光栄です。先生の素晴らしさは常々お聞きしておりまして、このたびは姪の真子とご子息の成明先生が会う機会を作ってくださり、感謝申し上げます」

 恭しく山本先生が頭を下げる。
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