冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「誕生日に欲しいものひとつだってねだらない」

 事情を説明しようとする前に、彼は不満そうに続けた。

「プレゼントはちゃんともらいましたよ」

 彼の顔が見えないままやっと反論する。

「忙しい成明さんが時間作って一緒に出かけてくれて……十分です」

 遠慮したわけでも、気を遣ったわけでもない。ひとりぼっちで迎える予定だった誕生日に成明さんが寄り添ってくれた。すごく嬉しかった。

 涙がこぼれそうになる。私なりの言い分はあるものの、成明さんの妻としては正しくなかったのかもしれない。

「だったら、なにが不満なんだ?」

 ところが逆に彼に問われて、苦しさを訴えるように返す。

「不満があるのは成明さんの方でしょ?」

 力強く言うと、彼がため息をついたのがわかった。

「そうだな。正直、なにもかも思い通りにいかない」

 聞き覚えのある内容に、目を瞬かせる。たしか、浩明さんとの電話で――。

「どうしたら俺の妻でいてくれるんだ?」

 普段の彼からは想像もつかないような弱気な言い方だった。

「小夜の欲しいものは、なんだって用意する。望むことは極力叶える。だから、他の男のところには行かせない」

 真っすぐ揺るがない瞳に目を奪われ、混乱しながらも私は否定にかかる。
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