冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「小夜、大丈夫か?」

「私は大丈夫ですけど……」

 正直に言うと大丈夫ではない。衣擦れの音とすぐ耳元で囁かれた声に、さっきから心拍数が異常をきたしている。

 今、成明さんのベッドの上でふたり並んで横たわり、向き合っていた。

 先ほどリビングで想いを通わせ合い、幾度となくキスを繰り返しながら、ふと彼がまだシャワーも浴びておらず、しかも疲れていることを思い出し、私から口づけを終わらせた。

 ところがバスルームへと促し、成明さんが離れようとした瞬間、寂しさを覚え、とっさに彼のシャツの裾を掴んでしまったのだ。

『す、すみません。その……』

 ほぼ無意識で、すぐに手を離す。我ながら矛盾している行動に戸惑っていると、そっと頭を撫でられた。

『一緒に寝るか?』

 彼の提案に硬直する。けれど断る選択肢はなくて、そばにいられると思うと純粋に嬉しくなった。こくりと小さく頷くと軽く唇を重ねられる。

 成明さんが寝支度を整えるのをリビングで待ち、彼の自室に共に足を踏み入れた。しっかりと中に入るのは初めてで、たくさんの専門書やノートが棚いっぱいに並んでいる。

 机には大きなモニターにつながっているパソコンがあって、落ち着いた雰囲気と乱雑さも相まって成明さんらしいと感じる。

 夢中で視線を飛ばしていたら、風邪を引くと言われ、彼に手を引かれてぎこちなくベッドに入った。ベッドは十分な広さがあって大人ふたりでも余裕がある。
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