冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 結菜のマンションに帰ってきて冷静になればなるほど激しく落ち込む。

 三神さんと母を重ね、つい感情的になってしまったと悔やむがもう遅い。

 結菜は浩明さんと食事してくると言っていたから、夕飯を準備する必要はなかった。その分、手持ち無沙汰となり、リビングのソファで膝を抱えて頭を沈め、あれこれ考えてしまう。

 どう考えても、クビだよね。

 けっしてお互いにいい印象を抱いていない中で、三神さんの意思を尊重しつつやれることはやったつもりだ。それでも彼が私にノーを突き立てるのなら、きっぱりお別れでいいし、私も気持ちを切り替えて次の仕事を探せると思っていたけれど……なんとも後味が悪すぎる。

 あんな失礼な態度を取って、それを理由にクビを言い渡されるのは、しこりがある。紹介してくれた浩明さんや結菜にも申し訳ない。

 ましてや、穏便に仕事を辞められなかったのは 初めてではないわけで……。

「あー、もう。考えるのはやめよう。反省はしても後悔はしない。過去は変えられないんだから!」

 ずっとそう言いきかせてきた。後悔しないなんて無理だとわかっているからこそ、モヤモヤする気持ちを振り払うべく頭を上げて声に出す。

 前を向くしかない。何度も思い知った。神も仏もこの世にはない。自分で道を切り開いていかないと。

 少しだけすっきりして、スマホで登録している求人サイトをチェックする。いくつか候補を絞っている企業の求人の条件を比較しよう。

 家政婦の仕事はお試し期間にもかかわらず、けっこういいお給料をいただいたので、これなら引っ越しを先にしてからでも――。

「ただいま!」

 明るい結菜の声にドキッとする。お洒落した結菜はいつにも増して可愛らしかった。
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