冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「さやかちゃん、中学校生活を楽しんでほしいですね」

「そうだな」

 リビングに戻り、小夜はテーブルの上を片付けながら続ける。手伝おうと彼女のそばに寄った。

「さやかちゃんの手術、難しいって言われていたのに……成明さんはやっぱりすごいです」

「いつも言っているが、俺ひとりだけの力じゃない。患者自身はもちろん、治療に携わった多くの医療従事者が尽力した結果だ」

 淡々と答えると、小夜は嬉しそうな顔をしている。

「成明さんのそういう考え方、とても素敵だと思います」

 そう告げる彼女の表情があまりにも可愛らしく、思わず抱きしめた。

「俺が手術を成功できるのは、小夜のおかげでもある」

「え?」

 顔を上げた彼女の形のいいおでこに、そっと自分の額を重ねた。

「小夜が家で、いつも俺を癒やしてくれるから」

 目を見張る小夜に、そのまま唇を重ねる。柔らかい唇は、かすかに甘い味がする。調子に乗って舌を差し入れると、小夜はゆるゆると受け入れる姿勢をとった。

「んっ」

 舌先で彼女の舌を舐め、からめとる。たどたどしくも応えようとする小夜に、愛情と欲望が絡み合ってますます深く求めていく。

 抱きしめる腕に自然と力が入る、細い腰が折れそうだと何度も思った。

「ふっ……ぅ、ん……ん」

 時折、漏れる艶っぽい声に煽られ、彼女の口内をたっぷりと味わい尽くす。頃合いを見て名残惜しく唇を離すと、無防備な小夜の顔が視界に入り、愛しさに頬を撫でた。
< 165 / 166 >

この作品をシェア

pagetop