冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 えっと……なにを言われたの?

 思い返そうとしたら、頬が熱くなるので気にしないことにしよう。

 深い意味はない。彼にとって都合がいいだけということだ。

 おかずは調理済みのものばかりなので、私がすることは温めて彩りよく盛り付けるくらいだ。自分なら普段買わない高級スーパーで購入した惣菜や冷凍食品は 、美味しさや栄養、素材へのこだわりなど、事前に情報を調べて選んでいる。

 お米だけは新米の美味しい時期なので、キッチンを使い鍋で炊いた。これは手料理には入らないだろう。余ったら冷凍できるし。

 言い訳しつつ、てきぱきとひとり分の食事を食卓に並べる。

「どうぞ。召し上がってください」

「ああ」

 本当は食べるのを見届けたいし見届けるべきなのかも。でも私がいたら三神さんは食べづらいだろうし。

 ダイニングテーブルまでやってきた三神さんをちらりと見る。

 よし、帰ろう。帰ってからまた夕飯の準備をしないと。

 エプロンを脱ぎながら、彼に声をかけようとする。

「今日、夕飯は必要ないらしい」

 ところが先に三神さんが口を開き、私は目を瞬かせる。誰の話をしているのかと思う間もなく彼は続ける。

「君の従姉と外で食べると、先ほど浩明から連絡があったんだ。急に誘って申し訳ないと君に伝えておいてくれって」

「……そう、ですか」

 一応仕事中になるので、スマホは触らないようにしている。それを知っているから結菜は浩明さん経由で 三神さんに連絡したのかも。申し訳ないのはこちらの方だ。
< 24 / 166 >

この作品をシェア

pagetop