冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
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「まったく無理ならそれはそれでなんとかするのが仕事だと受け入れますが、実際どこまで人の手が加わったら食べられないんですか?」

 せっかく食事を口にしてもらえるようになったのだ。食べてもらえるように、先に聞いておかないと。

 おそるおそる尋ねた私に三神さんはしかめ面になった。

「言っただろ、押し付けられるのが嫌なだけで 、食にこだわりはない」

「でも、ホテルのラウンジでなにが入っているかわからないから他人が作ったものは食べたくないって言っていたじゃないですか」

 その前の『水と人間が活動できる必要最低限の栄養素を含んだもの――それこそサプリでまかなえるなら事足りる』という発言もおそらく彼の本音だろう。私の指摘に三神さんはおもむろにため息をついた。

「そうだ。手料理自体が押し付けに感じる」

「だったら……」

「でも作る方が、都合がいいなら君の好きにすればいい」

 言葉がかぶせられ、私は目をぱちくりとさせる。

「いいんですか?」

 思いがけない許可を、にわかには信じられない。

「むしろなぜ手作りにこだわる? 出来合いのものを並べる方が楽で効率的じゃないか?」

 嫌味ではなく純粋な疑問を投げかけられ、私は首を横に振る。

「慣れ、不慣れもあるんです。たしかにお店のものは美味しいですし楽なときもあります。でも自炊が当たり前の私にとっては、出来合いのもの だけで味や栄養バランスを考えるのは、すごく大変でして……」

「なるほど」

 私の言い分に三神さんは妙に腑に落ちたような感じだった。

「変なものは絶対に入れませんし、調理過程にも気をつけますから……」

 握りこぶしをつくり、力強く告げる。そんな私に三神さんはぽつりと呟いた。
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