冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「そうなんだ! 三神先生って家ではどんな感じなの?」

「えっと……」

 興味津々といった面持ちで目を輝かせている彼女に対し、返答に迷う。すると少女はにこりと微笑んだ。

山崎(やまさき)さやかです。三神先生に手術してもらうためにこの病院に入院しているの」

 自己紹介を受けて、つられて私も名前を名乗り、ふたりでドア近くにあるベンチに腰を下ろす。

「小夜さんって言うんだ。私と〝さ〟が同じだね」

 初対面の大人相手でも物怖じしないのは、なんとなく彼女が大人中心の世界にいるからなのだと感じた。

「さやかちゃんはどれくらい入院しているの?」

「うーん。そろそろ一年かな」

 あっけらかんとさやかちゃんは答えた。年齢は十二歳らしく想像していたよりお姉さんだ。幼い頃に心臓に疾患が見つかり、手術と入退院を繰り返しながらも最終的には心臓手術をするしか完治する見込みはないと言われているらしい。

 重たい話を彼女はなんでもないかのように語っていく。

「それでね、三神先生なら治せるかもって前の病院の先生に紹介されたの」

 さやかちゃんの家は病院から三時間以上かかるほどの距離で、妹もおり両親は頻繁にお見舞いには来られないらしい。

「でも毎日テレビ電話をしてるよ! 院内学級もあってここで友達もできたし、三神先生は優しくてカッコいいから」

 こういうとき、どういう言葉をかけるべきなのか正解はわからないが、満更でもないといった様子のさやかちゃんに救われる。
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