冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
小学生の女の子が、身近な人の死をどう感じているのか。ましてや亡くなった女の子もさやかちゃんと同じ心臓に病を抱えていたなんて。
「心臓はね、先に三神先生が手術して成功したのに、別の病気が原因で亡くなったんだって。私、ショックで……。三神先生にも、悲しいって伝えたら、話を聞いてくれた。三神先生はいつも通りだったけれど、それから先生もどこか元気がない気がしてたから」
三週間前。私が三神さんのところに来る少し前になる。
寝食を忘れ、なにかに追い立てられるように資料や本を読んで、調べたり書き留めたりしていた。単にワーカホリックで片付けていたけれど、もしかして三神さんがずっと無理をしていたのって……。
さやかちゃんが小さくくしゃみをし、状況を思い出す。
「冷えてきたし、そろそろ入ろう」
促して立ち上がると、さやかちゃんも腰を上げた。太陽が傾き、吹き抜ける風が頬を掠める。さやかちゃんはガラガラとローラー付きの移動式モニターを慎重に動かしていった。
「小夜さん、よかったらまた会いに来てくれる?」
「……私でよかったら」
カーディガンの前合わせの部分をギュッと握り、彼女は微笑んだ。
「今度は三神先生の話、聞かせてね」
病室の番号を告げ、部屋に戻っていくさやかちゃんを見送る。無邪気に手を振る姿は、どこにでもいる小学生と変わらない。
また来ると約束したものの、さやかちゃんが求めるような三神さんの話などできない。私、三神さんのこと、本当になにも知らないんだな。
とりあえず遅くなったけれど、用事は済ませたし帰ろう。病院から出ようとしたところでバッグの中のスマホが振動した。
「心臓はね、先に三神先生が手術して成功したのに、別の病気が原因で亡くなったんだって。私、ショックで……。三神先生にも、悲しいって伝えたら、話を聞いてくれた。三神先生はいつも通りだったけれど、それから先生もどこか元気がない気がしてたから」
三週間前。私が三神さんのところに来る少し前になる。
寝食を忘れ、なにかに追い立てられるように資料や本を読んで、調べたり書き留めたりしていた。単にワーカホリックで片付けていたけれど、もしかして三神さんがずっと無理をしていたのって……。
さやかちゃんが小さくくしゃみをし、状況を思い出す。
「冷えてきたし、そろそろ入ろう」
促して立ち上がると、さやかちゃんも腰を上げた。太陽が傾き、吹き抜ける風が頬を掠める。さやかちゃんはガラガラとローラー付きの移動式モニターを慎重に動かしていった。
「小夜さん、よかったらまた会いに来てくれる?」
「……私でよかったら」
カーディガンの前合わせの部分をギュッと握り、彼女は微笑んだ。
「今度は三神先生の話、聞かせてね」
病室の番号を告げ、部屋に戻っていくさやかちゃんを見送る。無邪気に手を振る姿は、どこにでもいる小学生と変わらない。
また来ると約束したものの、さやかちゃんが求めるような三神さんの話などできない。私、三神さんのこと、本当になにも知らないんだな。
とりあえず遅くなったけれど、用事は済ませたし帰ろう。病院から出ようとしたところでバッグの中のスマホが振動した。