冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 そのとき三神さんが足を止めたので私も立ち止まる。なにを見ているのかと彼の目線の先を追うと、体を寄せ合いながら千鳥足になっているスーツ姿の年配男性ふたりがいた 。大きな声でしゃべって楽しそうではあるが、若干周りからは浮いている。

 えっと……もしかして知り合い?

 ちらりと三神さんを見ると彼は厳しい目で男性を見つめている。

 一体どうしたのか。三神さんと彼らを交互に見て口を開こうとしたとき――

「なんだ、兄ちゃん? なんか文句あんのか?」

 三神さんの視線に気づいたのか、男性のうちのひとりが声を張り上げ、ものすごい形相でこちらに向かってきた。焦り出す私とは違い、三神さんは平然としている。それどころか男性から視線を外さない。

「おい、やめろって」

 一緒にいた男性が止めるが、もうひとりの男性は完全に酔いが回っているのか、三神さんを下から睨みつける。

「顔だけ……よくてもな、お前みたいな若造……どうせたいした仕事してないんだろ」

 三神さんの外見の良さが気に障ったのか、男性の目は完全に据わっている。呂律も回っておらず、見つめていた三神さんも悪いかもしれないが、完全に言いがかりだ。三神さんがなにも言わないからか、男性は苛立ちをぶつけてくる。

「仕事もっ、いい加減で……努力もせず、女と遊ぶことばかり考えて……。お前みたいなのがっい、るから社会は――」

「そんなことありません!」

 気がつけば私は叫んで、三神さんと男性の間に入っていた。
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