冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
 後味が悪い。出てくるのは自分を責める言葉ばかりだ。

 なにを間違えたんだろう。私のなにが悪かったのかな? もっと私が上手く立ち回っていたら――。

「優しくされて調子に乗っていたのかもしれません。期待されているから仕事を頑張ろうって思ったのに、全部空回りしちゃって結局仕事を失って……」

 一通り話し終え、湿っぽい空気にならないよう笑いながらまとめようとする。

「よかったじゃないか」

「へ?」

 ところが、黙って話を聞いていた三神さんが唐突に放った一言に思わず面食らう。

「そんな会社。さっさと辞めて正解だろ」

 冷静に言われた分、私もいつもの調子で返す。

「か、簡単に言いますけどね、入社試験の倍率もすごかったんですよ? ダミアノ製薬は三神さんのご存知の通り、そこそこの有名企業で、お給料もそれなりに良くて――」

「ここよりも?」

 しれっとツッコまれ、言葉に詰まる。

「そ、それはですね……」

 正直、破格の値段で雇われている。待遇も申し分はない。けれど、いつまでも続けられるか。

 三神さんは軽く息を吐いた。

「少なくとも、仕事とは関係のない個人的な事情を批判してくる人間の言葉を気にするだけ無駄だ。聞かなくていい」

 あ……。

「そんな連中のために、上手く立ち回ったところでどうにかなるのか? 立ち回る必要がどこにある?」

 三神さんの言葉は、自分でさえ気づかないようにしていた本心に深く刺さった。

 おかげで意識する間もなく、頬に冷たいものが伝う。

『親が早死にして、ろくな教育を受けていないんだな』

『やっぱり両親がいないと常識を知らないのかしら』

 仕事に関してなにを言われても堪えられたのに、無理だった。両親のことも悪く言われた気がして、両親に申し訳なくて――悲しくて、つらかった。
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