冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「私、今日はどうしたらいいんでしょう?」

 戸惑いながら、ソファで資料に目を通している三神さんに尋ねる。普段の自分とはまったく違う姿にどうも落ち着かない。

 身に纏っている上品なネイビーのミモレ丈ワンピースは、長袖部分はレースになっていて、光沢のあるフレアシルエットのスカートは控えめな可愛らしさがある。

 フォーマルな場に相応しく、作り込んだ細やかなデザインや生地からして高級なものだとすぐにわかる。着用するとなおさらだ。

 それにふさわしいアクセサリーをつけ、気分はシンデレラだ。

 毎年この時期、心臓専門医が集まる学会があるらしい。二日間にわたって行い、初日は講演や発表メインで、二日目は交流がメインとなっているそうだ。

 三神さんは、二日目はいつも欠席するそうだが、今年は急遽参加を決めた 。理由は明確で、結婚を報告するにはちょうどいいと私に同行を求めてきたのだ 。

 そもそも彼が私との結婚を望んだのは、周りからの縁談を断る狙いもある。つまり、彼との結婚を決めた以上、私に断る選択肢はないのだ。

 絶対に場違いだと思うのだが、家族を連れて来ている人も多いらしい。

「どうもしなくていい。どうせ関係者が勝手にたくさん集まってくる」

 ソワソワする私に三神さんは軽く答えた。その落ち着きぶりはまるで私とは正反対。スーツをきっちり着こなしている。彼のスーツ姿を見るは、初めて会ったとき以来だ。様になっている姿は相変わらず見惚れてしまう。

「三神さん、人気者なんですね」

 しみじみと呟いた私に彼は画面からこちらに視線を移して、軽くため息をついた。

「まったくありがたくはないな」

 ゆっくりと彼の方に近づいていく。

「この格好でよかったんでしょうか?」

「問題ない。似合っている」

 さらりと褒め言葉もいただき、反射的にうつむく。彼にとってたいした意味じゃないのに、言動にいちいち反応してしまうのはどうしてなんだろう。
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