冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「浩明くんも結婚が決まって、三神先生も喜んでいるだろう」

「アメリカでお元気かな?」

「はい、おかげさまで」

 ご両親は、来月に一時帰国することになっている。結菜と浩明さんの結婚式があるからだ。結菜は優しそうなご両親だと話していた。けれど私は結菜と違う。両親もおらず、今は仕事をしていない。なにより彼から愛されて結婚を望まれたわけではない。

「三神先生」

 そのとき、知っている声が耳に届き、成明さんよりも先に私がそちらを向いた。

 え?

 視界に捉えた瞬間、目を見開いて硬直する。

「やぁ、三神先生。うちの姪を相手にどうかと今日は本人を連れてきたが、まさか結婚されていたなんてなぁ」

 豪快に笑う男性の隣に立っているのは石坂さんだった。ワインレッドのシフォンドレスを身に纏い、ドレスに合わせたメイクと髪型は一際目を引く。

「……山本先生」

 成明さんが小さく呟く。どうやら石坂さんの伯父は医師で、成明さんの知り合いだったらしい。

『……あの、どこかでお会いしたことがありませんか?』

 成明さんに会ったときの石坂さんの発言を思い出す。あれは、伯父経由でなんらかの関わりがあったから?

 勝手に鼓動が速くなる。

 山本先生は皮肉めいた笑みを浮かべた。

「もう少し姪を早く紹介しておくべきだったかな、残念だ」

「無駄足にならなくてよかったと思いますよ」

 間髪を入れずに成明さんが返すと、山本先生は眉をひそめた。彼が成明さんの結婚相手として私を認めていないのは火を見るより明らかだ。
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