冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
第四章 ブレイクスルー・キス
「私ね、元気になったら遊園地行きたい! で、思いっきり遊ぶの」

 年が明け、私は入院中のさやかちゃんの元を訪れていた。

 年末年始は家族がこちらに来ていて、いつもより長く一緒にいられたらしい。嬉しそうに話すさやかちゃんに私も自然と笑顔になる。一方で、外出ができないもどかしさを訴えた。

「水族館や動物園とかもいいな。小夜さんは行きたいとこある?」

 彼女の質問に言葉を選びながら答える。

「私は、植物園かな」

 意外な選択だったのか、さやかちゃんが首を傾げた。

「植物園?」

「今の時期だから、なおさらお花が見たいなって。ガラス張りの温室が素敵でね。オージープランツが綺麗に咲いているんだって」

 造詣が深いわけではないけれど、私は花が好きだった。だから婚約指輪も無意識に花をモチーフにしたデザインを選んだのかもしれない。

 さやかちゃんは、初めて聞いたと言わんばかりの表情をしている。小学六年生の女の子が行きたい場所としてはなかなか浮かんでこないかもしれない。

「オージープランツってどんな花? きれい?」

「えっとね」

 質問に答えるためスマホで検索しようとしたが、さやかちゃんに止められる。

「小夜さん、植物園に行ったら写真を撮ってきて」

 それは、いつになるのかわからない。けれど私は頷いた。

「うん、そうだね。行く計画を立ててみるね」

 苦笑しながら答えたが、「元気になったら一緒に行こう!」と言うべきだったのかもしれないと少しだけ後悔する。そんな私をよそに、さやかちゃんが神妙な面持ちで口を開く。
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