冷血心臓外科医はお飾り妻を逃がさない~愛なき契約から始まる甘く暴かれる独占婚~
「ところで小夜さん、三神先生の奥さんってどんな人?」

「へ?」

 突然の話題に思わず間抜けな声が出てしまった。まさかさやかちゃんからそんな質問をされるとは。

 先日、成明さんと私は役所に婚姻届を提出し結婚した。両親への挨拶もなければ、両家の顔合わせもない。たった一枚の紙の提出で結婚は成立するのだと拍子抜けする。

 さすがに浩明さんと結菜に報告しないわけにもいかず、婚姻届の証人欄への記載をお願いするのと同時に結婚する旨を告げた。

『相手は浩明さんの弟だから信用しているけれど……。小夜は自分の気持ちとか結婚にちゃんと納得しているの?』

 結菜は驚きつつ、私とふたりになった際にはひたすら心配していた。さすがは従姉というべきか、私と成明さんがお互いに愛し合って結婚を決めたわけではないのはすぐに気づいていた。

『大丈夫だよ、結菜。ありがとう』

 安心させる笑顔を向けた。彼女には本当に感謝している。

 結婚を機に、浩明さんに雇われる身ではなくなった。その代わり成明さんが私の口座にお金を入れてくれるようになったけれど、ますます表面上の雇われた結婚なのだと思い知る。

 その考えを打ち消すように頭を振った。贅沢を言ってどうするのか。

『結婚の価値観は人それぞれだけれど、小夜はちゃんと幸せにならないとだめだよ』

 うん。私は自分で決めて自分で幸せになるんだから。
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