ポリスラインを翔びこえて
「え、連絡先?なんで?てか敬語は?」
「もっと仲良くなりたいから…かなあ」
「あー、うん、いいよ。もはやタメ口とかどうでもいーよもう」
「やったあ、うれしい」
はにかんで笑う犬井くんの口元。
きらりと鋭い歯が覗く。小顔なのに八重歯は大きいんだ。
犬井くんは毎日連絡をくれた。
主におはよ、とかお疲れ様、とかその日の出来事とか。
それにより、私の日々は少し彩った気がする。
「ねえねえセイ兄、昨日は犬井くん、交通違反の取り締まり数で自己ベスト記録更新したんだってー!すごくない?」
「ああ、すごいね」
珍しく家族全員で食卓を囲う朝。
相変わらずママのオムレツはおいしい。
「あらあらまこちゃん、もしかして新しい彼氏?そのイヌイくんって子」
「な、なんだと!?どこのどいつだイヌイとやらは…本当に警察官なんだよな!?」
ママもパパも早とちりもいい加減に。すぐそういう話に持っていこうとするんだから。