ポリスラインを翔びこえて


あちゃー。入る前にちゃんと確認して部屋から持ってこればよかった。

どうしよ。パパは仕事で留守だし、ママはもう寝てるし、セイ兄を呼ぶ……?

いや、兄妹とは言えもう立派なおとな。どんなに仲が良くても無理ムリむり。

取りに行くしかないか。


マットの上で軽くジャンプして水気を落とし、そうっと脱衣所から出る。

冬に近づく季節、廊下はひんやりしている。


「うぅ、さぶい…」


ぶるっと肩をすぼめて転ばないよう慎重に部屋まで歩く。

すると。


ガチャ。


「っうわ!」


私の部屋の正面、セイ兄の部屋の扉が開いた。


「え、」

「わあああ!タオル忘れたの!見ないでー!」

「失礼」


…バタン!


心臓が止まりかけた。いやたぶん一瞬止まった。

なんというタイミング。

さっきもお風呂入ろうと思ったタイミングがかぶったし、これが長年寄り添った熟年夫婦ならぬ熟年兄妹のシンクロニシティなのか!?

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