ポリスラインを翔びこえて
ああ、もう、なんだか今日はツイてないな。
父親捜索は1ミリも進展しないし写真は失くすし裸は見られるし。
そんなツイてない日と早くおさらばするために、とっとと服着てとっとと寝よ。
「はぁ…」
短いため息は私の短い黒髪から滴る雫とともに床へ落下した。
─────
──……まばゆい光のなか、見覚えのある大きな背中。
『おとう、さん…?』
手を伸ばすけど届かない。
走ろうとするけど足が重たくて進まない。
どんどん、どんどん遠ざかってゆく。
待って、行かないで、止まって。
『おとうさん!』
お願い、戻ってきて。
どんなに近づこうと思っても、離れてゆく。
見えなくなりそうなくらい、小さく小さくなってゆく。
『約束だよ、アオちゃん』
……おとうさんの声じゃない。男の子。だれ?
『必ず戻ってくるから』
……うん、ぜったい、戻ってきて。
『強くなって』
ふわり、宙に浮いたからだはぐるぐる、
ぐるぐる天高く舞って……────