ポリスラインを翔びこえて
犬井くんといいお姉さんといい、今日はいろんな人に遭遇する日だなあ。
そしてよりによってセイ兄が現れるなんて。
会いたいな、って独り言、聞かれてないよね…?
まだバクバクする心臓を放置して早足に書庫へ向かった。
ポケットからマスクと手袋を取り出して装着し、埃っぽい空間の奥へと進んでいく。
「……あった」
手の届く位置でよかった。
ファイリングされた資料を取り出してページを捲っていく。
ふと目に入った“炎”の文字に、手が止まる。
『赫龍組 組長 炎 真信 ■■■■撃■■に■■死亡』
「ホムラ……マサノブ?」
全体的に文字がかすれていて、一部は黒インクを落としたようなシミで読解不可。
日付はちょうど20年前だった。
『烏轟組と赫龍組の抗争:(概要)今世紀最大規模の抗争である。────…なお、警察官による誤発砲で赫■■■1名■■■■■った。烏轟組の幹部は4名負傷し、組全体として79名の死傷者となった。一連の抗争に関与する総検挙数は893名に及んだ。』