ポリスラインを翔びこえて

急いでバッグから手鏡を取り出して確認すると、くっきりと濃いキスマークが刻印されていた。


「ちょ、これ誰かに見られたらどうすんの!?」

「うなじのも見せびらかしてんじゃん」

「は?うなじ?」

「ああ虫刺されだったよねえ、どんな虫に刺されたのかなあ」

「はあ?意味わかんない。ねえ絆創膏ある?これじゃ帰れない」

「帰らなくてもいーよお?姉さんも喜ぶと思う」

「私が家族に怒られるの!」

「ふうん、かぞく、ねえ…」

「絆創膏ないなら買ってくる……いや、これで外出るの無理だ、恥ずかしすぎる……」


あたふたカバンの中に絆創膏が落ちていないか探る私をよそに犬井くんは鼻歌なんか奏でてチーズケーキを切っている。


「ねえ、セイ兄さんって本当に兄妹?」

「え?まあ血は繋がってないけど3歳からずっと兄妹だよ?」

「あー、はいはいそういうことねえ」

「え、なに?何の確認?」

「んーん、蒼羽家ってすごいやあ」

「…どうも」


あ、あった!よかったー!
奇跡的に見つけた絆創膏を首に貼り付けて、まあ不格好だけどさっきよりはマシになったからよし。

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