ポリスラインを翔びこえて
「どうぞ召し上がれえ」
「ありがとう」
「んまあい、蒼羽刑事センスいい」
「でしょー?チーズケーキといえばうちはここって決めてるのよ」
「姉さんの残せるかなあ」
「それは食べすぎ」
そう噂をすれば玄関からガチャ、とドアの開く音が鳴ってさとみさんが帰ってきた。
食べ終わって帰宅の準備をして、さとみさんにもお礼を伝えて犬井家を出る。
空は日が落ちかけてオレンジ色と紺青色のグラデーションが神秘的。
駅まで送ってくれた犬井くんにまたねと手を振って別れると、ちょうどいいタイミングで電車がやって来た。
ぼーっと車窓の景色を眺める。
駅構内に入り真っ黒になるガラスに映る自分と目が合う。
ごしごしと親指で窓の唇をこする。
その仕草で思い出すのは犬井くんでもセイ兄でもなく、最後に会った日のきみだった。