ポリスラインを翔びこえて

着替えを持って部屋のドアをあけると、お風呂あがりのセイ兄が上裸で首にタオルをかけて部屋へ戻るところだった。

筋肉量が多いから風呂上がりは冬でも暑いんだろうなあ。

と思ってそのまま通り過ぎようとしたら。


「あ、まこちゃん」

「うん?」


振り返った途端、腕を摑まれぐい、と引っ張られ、着替えは手から滑り落ち、あっという間に私の部屋へ率いられた。

……え?な、なにが起きた?


「せ、セイ兄?どうしたの?」


薄暗い部屋。背中にぶつかる固いドア。セイ兄の片手で拘束された両手首。私の顔を覗き込む、綺麗な二重。

右側からペリッと音がした。


「……どうしたの、これ」

「っ、」


犬井くんのマーキングをじっと見つめる無表情。

どうしたも何も、キスしたらやり返されたんだよ、なんて言えない。


「イヌイカケル、だっけ」

「……、」

「そいつにやられたの?」

「っ、」

「3人でゲームしたんだよね?」

「いや…ひ、一人は体調崩して、さとみさんが看に行って……」

「じゃあ二人きりだったんだ」

「結果そうなった、けど……」

「けど?」
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