ポリスラインを翔びこえて
「仕方ないよ、冬だし体調崩しやすい子らしいしっ」
「で?」
「っ、」
「そういうことしたんだ?」
「し、してない、」
「じゃ、ずっと家でゲームしてたら虫に刺されたんだ」
「っ……」
ふーん、とほくそ笑むセイ兄が怖い。
何を考えているのか何を企んでいるのか想像もできないがゆえに尚更。
「まこちゃんという聖域を汚す害虫は僕がきれいに駆除してあげる」
「……は?」
「いつもそう。まこちゃんって少し目を離せばどうしてこんなにしょうもない虫をくっつけてくるんだろう」
「ど、どういう意味……?」
「1匹目も2匹目も3匹目もきみから追い払ったのは僕だよ」
「え?」
「イヌイカケルもその気になれば消せるよ?」
「な、何言って…!」
「まこちゃんが正直に話すなら考えてあげる」
「なに、を……」
「これ、」
「っ、」
つつ、と首筋を撫でるセイ兄の手。
ぞわっと全身が寒気立って震える。
「ど う し た の ?」
一音一音に抑揚を帯びた声はセイ兄のものとは思えないほど低く冷たい。
「……犬井くんに…つけられました……、」
勝手に口が動いていた。