ポリスラインを翔びこえて
「よく言えました。いい子だね、まこちゃん」
「っ、で、でも私も悪くて……っ」
「まこちゃんも悪い?」
「き、きす、したから……」
「キス?」
「その……か、かわいくてつい、」
「……まこちゃんってイヌイカケルのこと好きなの?」
「好きとかそういうんじゃないけど、その……赤毛、だったから…」
目を閉じてもらったら赤が恋しくなって。
きみだと想ったら一線を越えてみたくなって。
最低な私は犬井くんを利用して身代わりにして傷つけて、その罰を受けただけ。
「まこちゃん最低だね」
「……うん」
「でもあいつはもっと性悪だ」
「え?」
すっと離れていく逞しい胸板。
解除された手首は自由になった。
「ひとのモノとわかっていながらマーキングするやつは例え羽虫でも徹底的に潰しておかないと」
首にかけたタオルを取って髪をごしごし拭きながらそんな感じのことを言っていたが、正直何を考えているのかさっぱりわからない。
ひとのモノ?羽虫?潰す?
それらを理解するのは、もう少し先のお話。