ポリスラインを翔びこえて
Episode Ⅴ
* * *
雪解けから芽吹いた花々が顔を出し、軽快なリズムを奏でる鳥の音色が心地よい3月。
烏轟組と赫龍組の20年越しの抗争、通称『烏赫の20年抗争』が予告されてからもうすぐ1ヶ月。
犬井くんにもう連絡してこないでと伝えてから、彩っていた私の日常は元通り色褪せる。
「最近の動きはどうだー、蒼羽ぁ」
「うーん、これといった大きな動きはないような……でも1つ気になることがあります」
「なんだー?」
「酒が不味いです」
「あ?」
「酒が、くそ不味いんですよ」
「……働きすぎてついに壊れたのか蒼羽ぁ」
「かもしれません」
「冗談やめろぉ。どの店の酒だ蒼羽ぁ?」
椅子から立ち上がってホワイトボードに貼ってある地図を前にペンを取り、思いつく限り赤丸をつけていく。
「この地域って主に赫龍組の縄張りですよね。そこに集中してるんです、不味くなった気がする店が」
「ほー。で、お前はどう考える?」