ポリスラインを翔びこえて
「安価な酒または薄い酒が提供されると言うことは、カネを集めて何か計画しているのか、あるいは」
「あるいは?」
「客離れを目的とする粕取り酒をばら撒いて人避け、といったところでしょうか」
「……つまり、」
「抗争の事前準備、かもしれません」
「……なるほどなぁ」
しかしそれだけで警察は動けない、そう言いたいであろう字巡査長。
酒の旨い不味いなんて主観的だし、あくまで憶測でしかない発言は何ら効力を持たない。
誰がいつどこで何をした、そういう客観的な事実こそが有力であり、根拠となり、何より確実性が高い。
私の発言を捜査会議に持ち出したいなら、まず該当する店の酒の情報を取ってきて、どうして銘柄を変えたのか聞き出せるだけ聞き込みまわって、そこでカネの流れに不審な動きがないか突き止めて、それらを一枚紙で上げる必要がある。
そんな地道な作業をしている間に抗争が始まってしまいそうだ。