ポリスラインを翔びこえて

「安価な酒または薄い酒が提供されると言うことは、カネを集めて何か計画しているのか、あるいは」

「あるいは?」

「客離れを目的とする粕取り酒をばら撒いて人避け、といったところでしょうか」

「……つまり、」

「抗争の事前準備、かもしれません」

「……なるほどなぁ」


しかしそれだけで警察は動けない、そう言いたいであろう字巡査長。

酒の旨い不味いなんて主観的だし、あくまで憶測でしかない発言は何ら効力を持たない。

誰がいつどこで何をした、そういう客観的な事実こそが有力であり、根拠となり、何より確実性が高い。

私の発言を捜査会議に持ち出したいなら、まず該当する店の酒の情報を取ってきて、どうして銘柄を変えたのか聞き出せるだけ聞き込みまわって、そこでカネの流れに不審な動きがないか突き止めて、それらを一枚紙で上げる必要がある。

そんな地道な作業をしている間に抗争が始まってしまいそうだ。

< 133 / 300 >

この作品をシェア

pagetop