ポリスラインを翔びこえて

あれこれ迷っているいうちに首吊りされた男も地面に突っ伏した。

炎くんは汚いものに触れたかのように手をぶんぶん振って服でごしごし拭いている。

お、おわった、の……?


「ごめんねアオちゃん、時間かかっちゃって」

「え、秒読みだったけど」

「あの野郎なかなか吐かなくて。でも大丈夫、警察じゃなくて烏轟のやつらだった」

「う、烏轟組?なんでここに?」

「宣戦布告してからよくつきまとってくんの」

「それって例の嘘の予告のこと?」

「あー、うん、まあ嘘のつもりだったんだけど……ちょっと場所変えようか」

「っ、うん」


嘘の“つもりだった”……?
すなわちそれは本当になったってこと?

わけがわからず炎くんについて行く。

入ったお店は酒が不味くなった場所のひとつだった。

客が数名いるから念のためコートの襟を立てて口元を隠す。

炎くんの顔パスで奥の和室に案内された。

座卓を挟んで向かい合わせに配置された座布団をわざわざ移動させて横並びにする炎くんは、出逢った日から相変わらず隣に座りたい症候群のようだ。
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