ポリスラインを翔びこえて

「あるんだよ、そういう現実も」

「っ……、犯罪、じゃん……」


同じ警察官として、信じられなかった。

私たちは国を、街を、人を、犯罪から守るべき立場の人間なのに。

正義であるべき私たちが、自分の欲望のために誰かの身を傷つける悪となることなど、決して許されないはずだ。

雇われたこと、カネで動いたことを帳消しにして『誤発砲』で片付ける。

たとえヤクザの組長であったとしてもひとつの尊い命。それを奪っておきながら、その真実は闇に葬る。

酷く醜い現実を目の当たりにして、怒りや哀しみ、憎悪、同情、そんな感情がぐちゃぐちゃになる。


「信じらんない……警察官は、正義のヒーロー、でしょ?」

くらりと目眩がした。
姿勢が崩れてきみの左肩に身体をあずける。


「アオちゃん、警察官ってね」

「……うん?」


するりと肩に手をまわして抱き支えてくれる。
私の鼓膜へきみの心拍が伝う。


「警察であるまえに、ひとりのニンゲンなんだよ」

「っ、」
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