ポリスラインを翔びこえて
* * *
4月になって、一本の電話が鳴った。
『今宵、アオバマコトによろしく』
それは始まりの合図だった。
「なあ蒼羽ぁ、お前ホムラマコトに好かれてんのかぁ?」
「なぜでしょうね、毎回名指しなのは」
「いや俺が知りてぇよー蒼羽ぁ」
「私ってそんなにイイ女でしょうか?」
「……真顔で言われると返答に困るぜぇ」
バリ、と胡麻煎餅をかじる字巡査長。
緊急会議のあと作戦を練り直して字巡査長に上げ、それを課長へ上げてゴーサインをもらった私たちは夜に向けてデスクで休憩をとっていた。
知らんふりするのもたいぶ手慣れてきた気がする。
家でもセイ兄という監視カメラに見張られているからか、ポーカーフェイスにも磨きがかかってきたぞ、我ながらあっぱれ。
そうして日が落ちる前に現場入りして張り込みを開始する。
烏轟組の事務所の向かいの商業ビルの一室からスコープで出入り口を見張る。