ポリスラインを翔びこえて
誰かいる、と気配を感じたときには肩に白い手が伸びて。
「えいっ!」
すかさずその手首を掴んで身を反転し相手の肩を後ろから制すると、そこにいたのは赤。
「ふふ、さすがアオちゃん」
にっこり愉しそうに笑う彼はわざとらしく逃げるふりをするから。そうはさせるまいとより強く腕を引くと、お互いの身がさらに密着する。
「蒼羽よ」
「知ってる」
もらった家紋を気安く呼ばないでほしい。
代々受け継がれてきた警察一族にとって大切な姓だと言ったいつぞやのパパの誇らしげな顔が浮かぶ。
「ホムラ、マコト……」
その名を呼べば昨日と同じように目を細めてうれしそうに頷く。
至近距離の彼もやはり、美しかった。
陶器のように白い肌は滑らかで。
透き通るような白いまつげはとても長く。
筋の通った高い鼻先は今にも私とぶつかりそう。
「また会ったね」
息がかかりそうなほど近くで囁く彼に思わず身を引こうとするも、背中にまわされた腕はびくともしない。