ポリスラインを翔びこえて
押し倒された、そう理解するまでに1秒もいらなかった。
「っなに、離して、どいて、近づかないでっ」
「……まこちゃん、なんで拒絶するの」
「いやだっ…触らないで……」
「もっと泣けよ」
「は、」
「僕の前でしか泣けないだろう?ほら、泣いてよ」
「……っ、!」
唇を塞がれる。
息が止まる。
歯の隙間から舌が侵入する。
「は、ぁ……」
私を吸い尽くすように口腔を這う熱が卑しい。
滅茶苦茶だ。
私たちは兄妹なのに。
こんな淫猥なこと許されるわけがない。
「いっ、」
思いっきり歯を食いしばると顔を歪めて離れていくセイ兄。
そして力任せに股へ蹴りを入れ、怯んだ彼を力の限り体当たりして部屋から押し出す。
「セイ兄なんか大っっっきらい!!!」
バタン!とドアを閉めて鍵をかける。
しん、と静まり返る部屋。
時計の長針音が微かに聴こえる。
「っ……はあ、はあ、……」
力が抜けてずるずる落ちるからだ。
手汗で木製のドアに色がつく。
「……っくそぉっ!」
拳をドアにぶつける。