ポリスラインを翔びこえて

署内で保管しているものはいわゆる完成版で、こっちは完成版を作るために集めた保存義務のない自己資料だとわかった。


まこちゃんが言っていた“仮説”を思い出す。

──『もし20年前の烏赫抗争でパパが誤発砲した警察官だったら』


このことは昔、僕が警察官の採用試験に合格したときに父から聞いたことがある。

絶対に口外しない約束で、というか口外すれば僕の立場にも悪影響だから誰にも話したことはない。


「……誠、話とはそれのことか」

「っ父さん、あがってたんだ」


座れ、と言われてデスクの椅子に腰掛けると父は本棚の前に立つ。


「20年前のことは前に話したはずだが」

「それが、まこちゃんも知っていたんだ」

「……なに?」

「僕は話していない。その反応だと父さんもまだ話してないんだね?」

「……真が自分で突き止めたのか」

「わからない。ただ、今日のまこちゃんは今まで見たことがないくらい反抗的な態度でその話を口にした」

「……そうか……」

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