ポリスラインを翔びこえて
せめて。せめてまこちゃんに与えられる選択肢は、たったこれだけ。
本当に。本当にごめんね、こんな辛い思いをさせて。
「わかった。私が逮捕、する」
「……言ったね?」
「うん。必ず捕まえるよ、セイ兄に殺される前に」
「……ああ、そうしてくれ」
彼女の決意は力強かった。
けれど僕を見つめる目は生きる意味を喪ったように、僕ではない誰かを見据えていた。
もう、僕の前でその瞳から涙が落ちることはないのだろう。
彼女の枯れたこころを、癒やしてくれる涙は。
【END OF ▶アオバセイ's POV】
────ねえ炎くん。
きみはこの世界で悪として生きるしかない、って言ったけど、ほんとうの悪は、強さを優しさのために使ったりしないのよ。
ほんとうの悪は、家族とか信頼とか弱者とかね、
そんな何かを壊すために、強さを行使する。
だからきみは、わるい人じゃない────……