ポリスラインを翔びこえて

「……、」


これはもしかしなくても、略取。


「お、大人しくなった」

暴れても体力を消耗するだけだからね。

「諦めろ、お前は拉致された」

見ればわかるよそんなこと。

「確かにネエさんの面影ありますね、こいつ」

ねえさん?私に姉はいないんですけど。


心の中でツッコミを入れつつ状況を整理する。

この車は以前の烏赫抗争で追跡した烏轟組の車種と同じ。
恐らくこの黒ずくめの男らも烏轟組、そしてこの深々と帽子をかぶっているのは若頭の烏魔(からすま)だ。


「お前、赫龍組のカシラのオンナらしぃな?」

「……」

「よりによってネエさんのムスメとはなぁ。知ってて狙ったんかなー」

「……」

「あ、安心して?殺す気はないから、まだ」

「……」


うるさいな、こいつら。

外の世界のヒントは音しかないってのに全然聞こえないじゃん、少しは黙ってくんないかな。

まあでも大体想像ついた。

これから向かうのは烏轟組のアジトか保有するいくつかの倉庫のうちどれか、と言ったところか。
< 175 / 300 >

この作品をシェア

pagetop