ポリスラインを翔びこえて
行くぞ、とセイ兄が言う。
廊下に出ると春の生暖かい風が肌を撫でた。
ゆっくり歩く。エレベーターの前に立つ。
これでよかったんだ。
人を傷つけるのは、悪いこと。
正義は悪を倒すべきで、
警察は暴力団を滅ぼすべきで、
罪は罰せられるべきもの。
この世界には法があって、罪があって、刑罰がある。
一律に定められたルールに従い善悪を決めることで、社会の秩序を守り、人々が安心で安全に暮らせるような仕組みの基礎になっている。
私たち警察官は、そんなルールに則って、起きた事実だけをしっかりと見て、確かめて、反した者を捕まえる。
それが使命。
でも、一律に定められたルールに嵌まらない事実は、どう片付ければいいんだろう。
目に見えないこころに傷をつけられた時は、どうすればいいんだろう。
誰に訴えて誰に助けを求めて誰が犯人を捕まえるの?
視えないなら無いものと同然?
ほんとうの正義は、優しさのために強さをつかう。
ほんとうの正義は、何かを守るために強さを行使する。