ポリスラインを翔びこえて
「……お前、逃げるのか」
「むり。アオちゃんがそんな状態で離れられるわけない」
「馬鹿だな、どっちみち離れる」
「少しでも近くにいたい」
「……そっか」
まこちゃんが愛する男もまた、それに負けないくらい強い愛情を持っているようだった。
つくづく呆れて、それでも彼女が愛おしくて、そんな彼女を撃ってしまった自分の手を何よりも呪った。
「……アオバセイ」
「なんだ」
「正義も悪も、人を愛する気持ちまでは裁けない」
「……、」
「って、アオちゃんが言ってた」
「……彼女が言いそうだね」
「あんたもアオちゃんが好きなんだろ」
「……さあね」
「必ず手に入れるから」
「……」
「待っててね、蒼羽きょーだい」
それは、悪人ではない、ただひとりを愛する純粋な男の顔だった。
……────ここへ来る前、一本の電話が鳴った。
『アオちゃんが烏轟のやつらに拉致された』
「は?」
午後10時前。
ホムラマコトと名乗る男がまこちゃんの携帯番号でかけてきたのは記憶に新しい。