ポリスラインを翔びこえて
手を着けていた全ての仕事を放棄し急いで車をまわす。
GPSを確認するとまこちゃんのスマホは烏轟の保有する港側倉庫に移動して止まり、内線から応援要請が入った。
しかし現場に向かう途中で、位置情報はなぜか繁華街に向かっていた。
応援要請した者が現場を離れるなんて前代未聞だ、と慌てて電話を掛けるも一向に出ない。
「ああ、もう!」
再びGPSで追跡して辿り着いたのはとあるビル。
このビルはまこちゃんが以前、無断外泊したときの位置情報と同じ場所だった。
エレベーターホールで最上階からやって来る箱に乗り、廊下へ出ると少し開いたドアから物音がする。
銃を構え静かに近づき中の様子をうかがう。
こちらに背を向けて窓際にいるふたりの姿。
物音を立てぬよう部屋へ体を滑り込ませる。
するとまこちゃんはこちらを振り返る。
「ふじた、くん…?」
それは過去を懐かしむように。
それは警察官ではない、たったひとりの女性として。