ポリスラインを翔びこえて
「大好きだよ」
その4文字は、越えてはいけない境界線をとびだしてしまった、あふれだす愛の言葉。
同時に、まこちゃんの頬にきらりと一筋の光が流れた。
目の前の男を見つめる瞳は、これまで見たことのないほど美しく、儚く、切ない。
「でもね、炎くん、私は警察官だから、きみを、捕まえなきゃいけない」
「……」
銃口の先に立つ白い背中は処々に赤をまとう。
青い彼女をだんだん染めやがった憎き赤。
「運命に逆らってでも、きみと一緒にいたかった」
「……」
けれどこんなにも彼女を凛々しく立たせてあげられる、強き赤。
──『逮捕するか、僕に殺されるか。ホムラマコトの運命、まこちゃんが選んで』
「けれど、私はきみを救いたいから」
「……」
「午後11時14分……ホムラマコトを、傷害および暴行の容疑で……現行犯逮捕、する……」
震える声がそう言い終える。
腰ベルトから手錠を抜き取って彼女の方へ投げる。
ホムラマコトの両手首に掛けたのを確認し、銃を下ろした。