ポリスラインを翔びこえて
「まぁひとつ、私からまこちゃんに言えるとしたら…」
「うん、」
「好きの気持ちだけじゃ、うまくいかないこともあるのよ」
「っ、」
「だけど。この世界はそれほど残酷だけど、幸せを切り拓くのは自分。自分で選んだ幸せは、世界をこの上なく美しく彩ってくれるわ」
「……ママが選んだ幸せは、パパなんだね」
「ええ、そうよ。あ、この話は絶対にパパには内緒よ?」
「うん、最初にも言ってたよ」
ママはとても清々しい顔をして遠くをみて、過去を懐かしむように目を細めていた。
するとベッドサイドのテーブルにあるスマホが震えた。
「ん?私のスマホ?」
「ええ、ちょっと待ってねえ……あら、セイちゃん
よ、出る?」
「うん、」
なんだかんだ言って診察を受けている間にママが目を覚ましたことを連絡してくれたんだろう。
すぐに電話が来なかった感じ、仕事はとっても忙しそうだなあ。
「もしもし、セイ兄?」
『っ、まこちゃん……、よかった……っ』
「……え、セイ兄?」
ぐすっ、と鼻をすする音が聞こえる。
え、ええ、泣いてるの?