ポリスラインを翔びこえて

「拉致されたとき、烏轟の若頭が全部話してくれた。こんな大事なことも知らずに刑事やってんのねって侮辱されてすっごく胸糞悪かった」

「すまない、真。いつか話すべきだとは思っていたが……お前がショックを受ける顔を想像してしまって中々言い出せなかった。もしこの事実を知ったら組に肩入れするかもしれないとか、蒼羽家から出たいと言い出すかもしれないとか、とにかく悪い方向に傾くのではないかと怖い気持ちもあった」

「もういいよ。私だって知らなかったほうが良かったかもって今さら思ってるし」

「俺と真信は古くからの友人…まぁ腐れ縁みたいなもんだった。真信が敵対組織の女と不倫していると知ったときは必死に止めたのだが、その時には既に美琴のお腹にはお前がいた」

「お母さんのことは全く記憶にないんだけど……」

「美琴は病弱だったが頑固な女でな、絶対産むと言って譲らなかったそうだ。だから真信は妊娠している美琴を必死にかくまっていたが、お前を産んですぐ美琴は烏轟組に連れ去られた。だから2歳までは真信が一人でひっそり育てていたが……」

「2歳ってちょうど20年前……もしかして20年前の烏赫抗争って」

「そう、烏轟組はお前を見つけて連れ去った。返してほしければ取引に応じよ、と言って俺が指名されて内通者として烏轟に取り入るという話になった」

「でもパパは烏轟を裏切ったって……」
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