ポリスラインを翔びこえて
セイ兄はスマホを片手に椅子から立ち上がろうとしているところ、私の笑い声に気づいてこちらを振り返る。
「これ差し入れ、こっち置いとくね。仕事が近くであったから寄ったんだ。そろそろ時間だから戻るんだけど」
「忙しいのに来てくれてありがと。寝ちゃっててごめんね」
「僕のタイミングが悪かった。また合間見て来るよ」
「もう、別に大丈夫だよ?私そう簡単に死なないよ」
「僕が会いたいから来てるだけ。家にまこちゃんがいないの相当堪えてる」
「っせ、セイ兄ってそんなに寂しがり屋さんだっけ?」
「毎日一緒にいたんだから僕にとってはそれくらい大きな存在なんだよ、まこちゃんは」
「……そ、っか…」
「じゃあまた」
「うん、いってらっしゃい」
ふ、とほころんだところでセイ兄の携帯が震えて早足に病室から出て行った。
一週間後。
傷口もほとんど塞がり順調に回復中の私は退院までのリハビリスケジュールが決まり、入院生活もやっと終わりの兆しが見えてきた頃。